「ローミング」順次終了も2度目の計画遅延、楽天モバイルは通信品質を保てるか

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地道な基地局整備が求められる(楽天モバイルの5G用基地局)

楽天モバイルが、自社回線のエリア外でKDDIからネットワークを借りて利用者に通信サービスを提供する「ローミング」を39都道府県で順次終了する。だが、大手3社に比べて屋内や地下でつながりにくい上、半導体不足で携帯通信基地局建設が計画より遅れる見通しを示した。計画の遅延はこれで2度目。エリア展開が不十分なままローミングを打ち切れば、ユーザーの利便性低下につながりかねない。(苦瓜朋子)

「楽天社員を基地局の用地確保に投入し、工事会社と二人三脚で進めた」―。矢沢俊介副社長はエリア拡大の進捗(しんちょく)をこう評価する。すでに東京都内では一部を除きローミングを終了。千葉県、神奈川県では2022年3月末までに終了し、その他も基地局整備が完了した場所から自社回線に切り替える。

楽天モバイルはKDDIに契約者のローミング利用量に応じた料金を支払っており、「この料金の削減が黒字化の大きな試金石になる」と矢沢副社長は述べる。ローミング費用低減で、より割安な料金プランの提供や販売店出店を加速できる。

楽天モバイルは、KDDI回線を速度制限なしに使える月間データ容量を5ギガバイト(ギガは10億)までとしている。ローミング終了により楽天エリアでKDDIの電波を使う現象を避けられ、「顧客にとっても意味のあること」(矢沢副社長)と強調する。

だが、MM総研(東京都港区)の横田英明常務は「人口カバー率と実際につながるかどうかは少し違う。利用者の声を聞く限り、ローミング終了が少し早い印象だ」と指摘する。人口カバー率は対象地域の定住人口を基にした指標で、利用者が感じるつながりやすさとは必ずしも比例しない。例えば、楽天回線エリアとされる東京都内でも、商業施設の中や地下街ではつながりづらい。大手3社より基地局数が少ない上、屋内や地下でつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」を持たないのが原因だ。

矢沢副社長は「プラチナ(バンド)がなければエリア整備ができないというのは私の口から言ってはいけないこと」と述べ、当面は現行の周波数帯を用いてエリア拡大を目指す。通常の基地局とは別に、地下の飲食店や小売店を回り、年内に小型基地局を3万台設置する計画だ。

14日時点で人口カバー率が94・3%に達したが、半導体不足で人口カバー率96%の達成時期は22年春にずれ込む見込み。ローミング終了でも通信品質を保つためには、地道な基地局建設と電波対策の両面が求められる。

日刊工業新聞2021年10月25日

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