格安SIMの契約数が初の純減へ、その中心人物とは?
MM総研(東京都港区)は、格安スマートフォンと呼ばれる格安SIMの市場動向を発表した。9月末の契約数は前年同月比9・4%増の1536万回線だったが、2021年3月末に同13・4%減の1300万回線と、初の純減になると予測した。
MM総研は契約数減少の要因として、楽天モバイルの移動体通信事業者(MNO)参入と、KDDIによる「UQモバイル」事業の統合で、契約者がMNOに吸収されるためと分析した。携帯大手3社は料金引き下げやサブブランド移行時の手数料撤廃を発表しており、仮想移動体通信事業者(MVNO)への乗り換えは大幅に減少することが予想される。
MVNOの事業者別シェアでは、9月までUQモバイルを提供していたUQコミュニケーションズ(東京都港区)がシェア16・8%で首位。楽天モバイルに対抗した低料金プランで統合前に大きく回線数を伸ばした。
2位は楽天モバイルの13・3%。自社MNOサービスへの移行でシェアを落とした。以下、インターネットイニシアティブ(IIJ)の12・8%、NTTコミュニケーションズの10・0%、オプテージ(大阪市中央区)の7・9%、ビッグローブ(東京都品川区)の4・8%が続いた。
21年度以降は個人向けスマホ用途としての成長率が大幅に鈍化する一方、IoT(モノのインターネット)向けで需要が拡大するとみられる。MM総研は、24年3月末時点では2300万回線に達し、そのうちIoT向け回線の比率が50・4%に達すると予測している。楽天モバイルを含むMNO4社からの乗り換え減少が見込まれる中、MVNOは超低価格・低容量の個人向けスマホやIoT領域に活路を見いだす必要があると分析した。