ロームが中国・正海集団とSiCパワーモジュール合弁を設立する狙い
ロームは、中国・正海集団(山東省)と炭化ケイ素(SiC)パワーモジュール事業に関する合弁会社を設立する。12月めどにパワーモジュールの開発や生産などを担う新会社を上海市に設立する。正海集団のインバーター技術とロームのSiCチップを融合し、電動車のトラクションインバーターに向く高効率なパワーモジュールを開発する。
新会社「上海海姆希科半導体(シャンハイハイモシック)」の資本金は2億5000万元(約44億円)を予定。出資比率は正海集団完全子会社の上海正海半導体技術が80%、ロームは20%となる。開発するモジュール製品は電動車へ採用が決まり、2022年にローム本社工場(京都市右京区)で量産する。
新会社の本社所在地に現在、工場を建設中で23年中に稼働予定。従業員は約120人でスタートする。総経理には、トヨタ自動車で14年間ハイブリッド車(HV)の開発に従事し、17年から正海集団でSiCパワーモジュールなどの開発に関わる高崎哲氏が就く。
正海集団は1990年に創立。傘下に自動車向けインバーター、モジュールメーカーなどを有し多角的に事業展開を行う。ロームとは協力関係にあり、合弁会社設立を機に、今後拡大が見込まれるSiCパワーモジュール事業を強化する。
高崎氏は同日、上海市内で会見し「技術革新に努め、SiCパワーモジュール販売で中国ナンバーワンを目指す」と意気込んだ。ロームの松本功社長は「(新会社は)中国で勢いを増す新エネルギー車へのSiCパワーデバイス搭載を後押しし、他の応用研究にも重要な役割を果たす」とコメントした。
日刊工業新聞2021年10月22日