「STEAM教育」を全国規模で推進、東大・阪大・日立・NECなどが参加する基盤の要諦
東京大学、大阪大学や日立製作所、NECなどを中心に大学や企業が参加した「学びのイノベーション・プラットフォーム」が立ち上がった。科学、技術、工学、芸術、数学などを総合的に学ぶ「STEAM教育」を全国規模で推進する。各地に点在して活動するグループのコンテンツやノウハウを共有し、科学技術を中心とした次世代育成の強い基盤を構築する。当面は企業会員100社の参加を目指す。
学びのイノベーション・プラットフォームは産学官、地域、学校、NPO法人、個人など社会総出で、子どもの理数・STEAM教育を推進する全国ネットワークだ。さまざまな開発した教材を電子化し、相互活用できるコンテンツ基盤を整備する。併せて子ども向けに工場・研究所でのリアルな体験学習も企画・実施する。
従来は狭い範囲で教材開発や経験・ノウハウを共有する事例はあったが、全国規模による取り組みがなかったためネットワーク化する。小・中学校や高校で動きだした「総合的な学習(探究)の時間」での導入などが期待される。
正会員の年会費は大企業で100万円以上、個人が5000円。公的機関は無料。企業会員は100社程度を集めたいとしている。今後、代表者らを決める。事務局は東大生産技術研究所に置く。同大生研には産学連携の出前授業など手がける次世代育成オフィスや、デザイン思考のノウハウを活用できる価値創造デザイン推進基盤などがある。
同プラットフォームの前身は産業競争力懇談会(COCN)のプロジェクトで、当時東大理事だった藤井輝夫現総長がリーダーを務めたことが設立のきっかけとなった。複雑化する社会の課題に取り組む人材の育成に向け、子どもが学ぶ楽しさを感じ、個性を伸ばすSTEAM携教育がカギになるとみている。
日刊工業新聞2021年10月21日