微生物の殻に海水温が記録されている!高知大と横国大が実証
高知大学の池原実教授と横浜国立大学の河潟俊吾教授らは、高知県にある土佐湾の微小底生生物の殻に海水温が正確に記録されていることを実証した。同種生物の化石の酸素同位体比を分析することで、黒潮域における過去の海洋環境変化を復元解析できるようになる。気候変動研究に活用できる。
研究グループは土佐湾の3地点で海底表層の堆積物を採集。その中に生息する浅海性底生有孔虫の一種について、酸素と炭素の同位体比を測定した。
この結果を分析したところ、海底付近の海水の酸素同位体比を基準として、年平均の海水温の違いによる温度依存性を反映していることが分かった。
浅海性底生有孔虫と海水との酸素同位体比の関係を調べた結果、浮遊性有孔虫の飼育実験による関係式と高確率で一致し、水温変化の復元に利用できることが示された。
海水の酸素同位体比は地球全体の氷床量変化により変わる。有孔虫の殻には酸素同位体比が記録されるため、有孔虫を利用した古環境研究が進められてきた。ただ、大陸棚などの浅海域にいる有孔虫の有効性は不明で、浅海域は空白域となっていた。
日刊工業新聞2021年10月21日