鉄道車両の電食防ぐ。NTNが業界で初めて開発したセラ絶縁軸受の実力

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セラミックスで被膜した鉄道車両車軸用軸受

NTNは電流の漏れで金属が溶ける電食をセラミックス被膜で防ぐ鉄道車両車軸用軸受を開発した。軸受の外輪にセラミックス粒を溶射し、研磨もして均一な絶縁膜を生成する。車軸用に加工できたのは業界初という。電食による軸受の修理や交換の保守コストを減らせる。すでに実際の鉄道で電食防止を確かめた。電化が進む鉄道は二酸化炭素(CO2)を出さず環境負荷も低い。NTNは国内外で絶縁軸受の製品シリーズで2026年度に20年度比3億円の販売増を目指す。

鉄道車軸の複列円すいころ軸受は外径200ミリ―250ミリメートルで、主電動機用の125ミリ―150ミリメートルに比べ大きく重い。このため外輪を高精度に保持し、セラミックス溶射する加工は難しかった。

電食が進むと軸受の軌道面に波板状の横縞(よこじま)模様が生じ異音や振動を引き起こし、軸受が機能しなくなる。レジン(樹脂)で絶縁する方法もあるが、車輪の振動が直接伝わる大型軸受には難点がある。

そこでNTNは外輪を高精度に保持する特殊治具を考案。セラミックスを均一な膜厚にプラズマ溶射し、研磨で表面を仕上げる技術を確立した。治具の設定などを除き自動加工する。被膜は厚さ1ミリメートル未満。標準と個別仕様で厚さを分ける。絶縁は耐電圧3キロボルト。

鉄道の車軸軸受は1両に標準で8個取り付けられる。これまで国内の一般車両へ100個納入し、信頼性も確認されたという。

NTNは主電動機用や風力発電機用などで、セラミックス被膜とレジンによる絶縁軸受をシリーズ化している。これまで困難だった車軸用にもセラミックス被膜を追加できたことで、保守コスト低減の提案力を高め、シリーズ全体で売上高を伸ばす。

日刊工業新聞2021年10月20日

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