紙の6分の1の軽さで空気より高い断熱性、新開発のCNF複合材がスゴイ

KRIが開発

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開発した断熱材と紙の断熱性比較。下は100℃に加熱したホットプレート上のサンプルのサーモグラフィー画像

大阪ガス子会社のKRI(京都市下京区、川崎真一社長)は、紙の6分の1の軽さで空気より高い断熱性を持つ、シリカエアロゲルとセルロースナノファイバー(CNF)の複合材を開発した。複合材をグラスウールに含浸すると、ガラス板と同等の遮音特性で重量約16分の1の素材も作れる。スマートフォンなど精密機器の断熱や電気自動車(EV)の室内ノイズ対策のほか、紙のように軽く、保温性が高い衣服などを作れる可能性もある。

シリカエアロゲルは1ナノ―3ナノメートル(ナノは10億分の1)の二酸化ケイ素(シリカ)でできた骨格と空間からなり、空間比率(気孔率)が90―95%の多孔体。骨格内の空間が小さく空気が対流せず、熱の伝搬が抑えられる。CNFはセルロース繊維の結合を解いた直径5ナノ―20ナノメートルほどの繊維で、軽く強度が高く、熱による寸法変化が少ない。

KRIは疎水性を持つシリカエアロゲル粒子をCNFの網で包んで水溶液中に分散することに成功。水溶液を乾燥してシート状の複合材を作る方法を開発した。開発した複合材の熱伝導率は0・015―0・022ワット/メートルケルビンと、空気の0・024ワット/メートルケルビンより小さい。1立方センチメートル当たり重量は0・13グラム。断熱材として約150度Cまでの連続使用に耐えられ、塗料のように塗布して使うことも可能。不織布などに塗布・含浸して、特定の周波数を遮る遮音材も作れる。

一般の遮音材は質量が大きいほど遮音性が高くなる質量則に従うが、KRI開発の遮音材は軽量で遮音性も高い。「音響メタマテリアル」と呼ばれ日産自動車や三菱ケミカルなども開発している。

KRIは販売価格を断熱材が厚さ0・5ミリメートルで1平方メートル当たり3000円程度、遮音材が厚さ3・0ミリメートルで1平方メートルで9000円程度を実現できると見込む。電子部品や素材などのメーカーにサンプル提供し、素材の受託開発を提案する。

日刊工業新聞2021年10月18日

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