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下水汚泥の焼却廃熱を生かせ。東京都が考えるエネルギー有効利用法

東京都は下水汚泥の焼却過程でのエネルギーの有効利用を加速する。下水汚泥の焼却廃熱で発電した電力を、焼却炉で使用するエネルギーの「自給自足」はすでに進めているが、これをさらに発展させ、焼却炉で消費する電力以上に発電し、水処理施設などにも電力供給する次世代技術を今後5年程度かけて実用化する。下水道事業における温室効果ガス削減を目指す。

「エネルギー供給型」と呼ぶ新たな焼却システムは、すでに開発済みの下水汚泥の焼却廃熱による発電技術を高効率化するもの。脱水後の汚泥は850度C以上の高温で焼却するが、この高温の廃熱の利用効率を高め、汚泥の処理工程で用いる濃縮機や脱水機などに使う電力の一部に活用する。水処理施設にも電力を供給する計画だ。

焼却炉で使用する電力を下水汚泥の焼却廃熱で賄う「自給自足型」の焼却システムは、新河岸水再生センター(東京都板橋区)や葛西水再生センター(同江戸川区)、南部スラッジプラント(同大田区)などに建設中。次世代の「エネルギー供給型」についても技術的な検証を経て実用化を目指す。

東京都では下水道事業における温室効果ガス削減を進めるため、汚泥の高温焼却による一酸化二窒素(N2O)削減のほか、汚泥の低含水率化による補助燃料の不使用や機器の省エネ化を通じた二酸化炭素(CO2)の排出削減を進めてきた。今後は電力使用のさらなる削減も検討しつつ、再生可能エネルギーの利用拡大を含めた取り組みを加速する方針だ。

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