コロナ禍からの経済回復へ、日米財界人会議がまとめた共同声明の中身
日米経済協議会の平野信行会長(三菱UFJ銀行特別顧問)は、日米財界人会議後の記者会見で、CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)について「今年(の同会議で)は米国の復帰が必要だという意見が米国経済界からも強く出た」と述べた。その背景として、新型コロナウイルス感染拡大に伴うサプライチェーン(供給網)寸断などを受け「米国経済にとっても世界貿易や投資がいかに重要かが強く認識されたことがあると思う」との見解を示した。
58回目となる今年の日米財界人会議は7日まで2日間にわたってオンラインで開催。日米両国から約60人の企業経営者が参加しコロナ禍からの経済回復などについて議論、共同声明をまとめた。
CPTPPについて共同声明では「主要な高水準の貿易協定の促進もしくはそれらへの参加を含め、先進的で市場開放的な貿易アジェンダを優先的に実現する」と盛り込んだ。
平野会長は「昨年までは日本側のアジアにおけるCPTPP拡大への努力を『認識する』という表現にとどまっていた。今年は米国側が踏み込んできた」と指摘。米国経済界における米国復帰への機運の高まりを「大きな前進だ」と評価した。
CPTPPをめぐっては先月、中国と台湾が相次いで加入申請をした。平野会長は「中国と台湾について具体的な議論は出ていないが、加盟国を拡大する過程で自由貿易の水準が引き下げられてはいけないという基本的な考えは(日米経済界で)一致していると思う」と述べた。
日刊工業新聞2021年10月8日