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バイデン政権で「日本の自動車」「TPP復帰」「米中関係」はどうなる?

バイデン政権で「日本の自動車」「TPP復帰」「米中関係」はどうなる?

バイデン公式ツイッターより

日米、自動車分野が焦点

民主党のバイデン前副大統領は米大統領選で勝利宣言し、新型コロナウイルス対策や中間層の再建に取り組む意向を示した。特に経済政策では製造業の再生と雇用の創出、強硬な対中政策の継続などを挙げる。日本への影響では「第2段階」の日米貿易協議の行方や、米中対立の進展、環太平洋連携協定(TPP)への復帰見送りなどが懸念材料となる。日本企業は当面、バイデン氏の具体策を注視する展開が続く。

日米貿易協議は2019年に「第1段階」に関して合意し、20年1月に発効した。日本はTPPで定めた水準内で農産物の関税を引き下げ、米国は工業品の関税を段階的に撤廃・削減する。一方、自動車分野などについては第2段階で協議することになっており、トランプ大統領が勝利すれば再び厳しい交渉が見込まれた。バイデン氏はトランプ氏の高圧的な交渉手法を「古い」と一蹴しており、政策転換を強調する。

少なくとも第2段階の協議では、追加関税をちらつかせて日本に譲歩を迫る展開はないとみられる。ただバイデン氏も内向き志向の米国民に配慮せざるを得ず、日本が要求する自動車分野の関税撤廃・削減を拒む可能性もある。この場合、日本は米国への譲歩が大きな焦点となる。例えば金融・通信では外国企業への参入規制の撤廃、医薬品では薬価制度の見直し、知的財産保護では米国製品の市場参入を阻む制度の防止が挙げられる。

米中対立の影響も継続する。バイデン氏は「(互いに関税をかけ合う)関税戦争はしない」と明言しながら、中国の過度な産業政策を「不公正だ」と指弾する。今後も「強硬な政策が確実に続く」(国際経済学者)のは間違いない。経済のデカップリング(分離)がじわりと進み、その狭間(はざま)で揺れる日本は難しい選択を迫られることになる。民主主義や人権を重視しつつ、経済では中国市場で稼いでいく強かさが求められる。

一方、TPPへの復帰は難しい。民主党は歴史的に保護貿易の傾向が強い上、反自由貿易を主張する急進左派に配慮する必要もある。バイデン氏はTPPへの復帰を示唆するが、党内の多くは反対しており、実現可能性は低い。他方で東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉が近くまとまる公算が大きく、米国のアジア経済における影響力が低下する見通しだ。相対的に中国がアジアで台頭すれば経済安全保障に懸念が生じかねず、日本企業も対策を迫られかねない。

日刊工業新聞2020年11月10日

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