EUから抜けた英国とFTA交渉開始 TPPにも参加意欲あり
日本と英国が自由貿易協定(FTA)の締結に向け、近く交渉を始める見通しとなった。英国が欧州連合(EU)から離脱したことに伴い、日英間の関税の優遇措置が失われるため、新たな関税協定を結ぶ。英国は環太平洋連携協定(TPP)への参加も目指しており、日本は英国との協力関係を強めてTPPなど多角的な自由貿易体制の機運を高めたい構えだ。
英国は13日(日本時間)、日本との「交渉方針」を公表し、金融サービスや会計・法律などの専門サービス、繊維・衣料品で日本側に譲歩を迫る姿勢を示した。英国のトラス国際貿易相は「日本との貿易協定は新型コロナによる経済的打撃の後で、貿易を増やし、投資を加速させ、雇用を創出するのに役立つ」と声明を発表した。
日本とEUの間には経済連携協定(EPA)が発効しているものの、英国とは12月末までの離脱移行期間を超えると、日欧EPAの優遇措置がなくなる。日英両国はデジタル分野などで日欧EPAを上回る自由化水準を目指し、同期間終了までに合意したい意向だ。
日本は欧州の玄関口である英国との貿易体制を強固にし日本企業の欧州ビジネスを後押しするほか、英国をTPPに呼び込むための契機にする見通し。
日刊工業新聞2020年5月14日