全社員に「ジョブ型人事制度」導入するKDDIが目指す人材育成
KDDIは、2022年4月から非管理職を含む全社員にジョブ型人事制度を導入する。ジョブローテーションでさまざまな経験を積ませるゼネラリスト育成型から、得意分野を基に自身の専門領域を深耕するエキスパート育成型に転換する。また、年齢や働いた時間ではなく挑戦や成果を重視し、処遇に反映させる。通信を核に事業領域を拡大する中、高度な専門性を持つ人材の採用・育成で競争力強化につなげる。
「大企業に入れば一生安泰とは考えず、自分が会社にどう貢献し、成長したいかという目線を持つ学生が増えている」。白岩徹執行役員コーポレート統括本部人事本部長はジョブ型導入の背景をこう説明する。まずは20年8月以降に入社した中途社員と21年度入社の新卒社員にジョブ型を適用した。年功序列制から脱却し、一律の初任給制度を廃止。能力に応じて個々に給与体系を決める。
新制度では、通信ネットワーク設計や法務など30職種のジョブディスクリプション(職務記述書)を設定。人事評価は半期ごとに設定する目標に沿って上司のみが評価する方法から、上司との個別面談で定期的に目標を更新した上で、同僚や部下らの視点を加えた360度評価に改める。専門性と挑戦する行動を奨励し、変化に対応できる人材を育成したい考えだ。
管理職の概念も変える。部長などのマネジメント層だけでなく、部下を持たないが、一定の専門性を有する人材も「経営基幹職」として遇する。それぞれリーダーシップや専門性を基に3段階の職務等級に分ける。評価によっては非管理職にあたる「基幹職」と入れ替える。役職に就くまでの最低年数を撤廃し、年齢に関わらず優秀な人材が活躍できる風土を作る。
日刊工業新聞2021年9月14日