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トヨタとFC発電機を開発。長州産業が米国で水素事業に参入

トヨタとFC発電機を開発。長州産業が米国で水素事業に参入

カリフォルニア州港湾部局に納入予定のFC発電機「MizTomo」

長州産業(山口県山陽小野田市、岡本晋社長)は米国で水素事業に参入する。トヨタ自動車の協力で開発した定置式燃料電池(FC)発電機を、2022年春をめどにカリフォルニア州港湾局に納入する。全額出資の現地法人・長州産業アメリカをすでに設立、営業活動を始めている。水素を核に米国で環境関連事業の業容拡大を図る。

開発した発電機「MizTomo(ミズトモ)」は、トヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI」に搭載するFCシステムを利用した。蓄電池や冷却設備を備えており、出力は200キロワット。20フィードコンテナサイズの省スペース仕様だが、最大8台の並列運転で1600キロワットの自立運転が可能となる。

また長州産業のソーラー水素ステーション「SHiPS(シップス)」を組み合わせることで、太陽光発電で水素を生成・供給するほか、非常時は防災基地として活用できる。

カリフォルニア州は二酸化炭素(CO2)の排出削減に積極的に取り組んでおり、水素利用先進地として知られる。港湾局も非常用電源や荷役機械、停泊船舶への電力供給などを従来の軽油からFCに置き換えたい意向が強いことから納入が決まった。価格は非公表。

岡本社長は「環境意識が高い西海岸では社会貢献も図れる」と期待しており、数年後には年間数十億円の事業規模に育てる考え。

シップスは17年に発売した小型水素ステーション。19年に長野県企業局に納入するなど利用が広がっている。

日刊工業新聞2021年9月29日

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