CO2フリーのブルー水素事業に乗り出すJパワーの勝算

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Jパワーは海外で石炭をガス化し、二酸化炭素(CO2)フリーのブルー水素を製造する事業に乗り出す。製造時に発生するCO2は分離・回収し石油増進回収(EOR)として利用し貯留する。米国の油田サービス会社、シュルンベルジェと共同で世界の油田近くで候補地を探す。製造した水素は、現地の状況に応じてエネルギーとして供給するか、現地に発電所を建設し電力として供給する。海外の事業拡大とカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の両立を狙う。

Jパワーは石炭を酸素吹きでガス化する技術を確立し、実用段階にある。生成したガスは高効率のコンバインドサイクル発電としての利用や、CO2を分離・回収し水素を取り出して利用する。CO2は90%以上回収が可能だが、カーボンニュートラルにはCCUS(CO2回収・利用・貯留)が必要。この候補地探しが難しい。

シュルンベルジェは地下資源の探査、解析や油田事業をサポートする世界屈指の油田サービス企業。120カ国で事業を行い、油田オーナーやオフテイカー(購入者)とのネットワークも豊富だ。EORは自噴力が弱まった油田で、油層にCO2を圧入して原油の流動性を高め増産する技術。原油の採取率を上げながらCO2を貯留できるメリットがある。

Jパワーは2019年からシュルンベルジェと共同で、EORの潜在需要を調査してきた。現在、候補地の中から石炭調達、CO2フリー水素の需要、その国の石炭許容度などを考慮し検討している。「世界中に候補地はある。できるだけ早く事業化し20年間の運転で投資回収する」(Jパワー国際営業部技術室間嶋亨統括マネージャー)方針だ。事業化に当たってはシュルンベルジェが油田解析やCO2注入後の流動解析などを担当、Jパワーが石炭のガス化、CO2の分離回収、現地の水素や電力需要の評価などを担当する。

産業界では脱炭素エネルギーとしてCO2フリー水素が期待されている。再生可能エネルギーからつくるグリーン水素と、化石燃料からつくり発生するCO2を処理するブルー水素があるが、ともにコストや生産量が課題。「グリーン水素は太陽光が豊富な中東でつくっても当面、コストは高い。ブルー水素とすみ分けるだろう」(Jパワーの籔本晃審議役)と、世界各地で事業展開しブルー水素の量を確保したい考えだ。

日刊工業新聞2021年8月12日

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