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防衛装備品の製造を効率化へ、防衛省が一手

防衛省は、防衛装備品の製造工程を効率化するための支援制度を2022年度に新設する。効率的な作業を可能にする新鋭機械や新システムを購入したり、据え付けたりする装備品企業に、一定割合の資金を支援する。防衛装備品はハイテク化やIT化が年々進み、生産設備も高度なものが求められている。資金支援により関連企業の設備投資を後押しし、効率化や技術水準アップにつなげる。

援助率は現在、検討中だが、2分の1から3分の2の高率になる可能性が大きい。22年度概算要求で9億円を盛り込んだ。人手不足対策で溶接ロボットシステムを導入するといった一般的な援助ではなく、防衛装備品の特性を踏まえ、ステルス性能を試験する装置のような性能向上につながる案件を対象とする。これらの装置はハイテクである分、価格も高く、“選択と集中”が言われるなかでは企業が投資に躊躇する可能性が高い。防衛省は「大手重工メーカーでも防衛装備品の比率は年々下がっている。設備投資の優先順位から漏れる恐れも強い」と危惧する。さらに装備品は生産個数も少ないため、関連機械も高コストになっている。設備投資が十分に行われず、装備品のハイテク化が進まないという懸念もある。そこで支援制度を新設する。

22年の春先から企業の応募を募り、候補先を決める考えだが、選抜は専門性を踏まえ、第三者機関でなく同省内で行う方針。書類審査や写真、画像審査に加え、装置を入れる前後の違いを企業側に十分説明させるなどで公正性を確保する。

日刊工業新聞2021年9月29日

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