熱や光で接着部分が剥がしやすくなる新プライマーの仕組み
産総研が開発
産業技術総合研究所の相沢美帆研究員は、熱や光といった刺激によって接着部分を剥がしやすくなるプライマー(下地材)を開発した。紫外線(UV)を当てると剥離強度が3分の2になる。従来技術の5%未満のエネルギーで接着力を減少させた。生産効率だけでなく、解体やリサイクルしやすい製品づくりにつながる。
接着剤の下地にするプライマーに刺激応答機能を導入した。プライマーにはアントラセンという特定の光を当てると二量体になる分子を利用する。二量体の状態でガラスにプライマーを塗り、接着剤でフィルムを貼り付ける。プライマーを塗ると、ガラスとフィルムの剥がすために必要な力は2倍になった。
続いて180度Cに加熱したり、UVを当てたりすると、プライマー中のアントラセンの二量体が二つのアントラセンに別れる。これにより剥離強度が加熱後は60%減、UV照射後は33%減になった。開発したプライマーを塗ると、接着強度が増すものの、熱などの刺激を与えると剥がれやすくなる。
新技術は接着以外にインクの除去や、紙の再生といった表面処理にも応用できる。
日刊工業新聞2021年9月9日