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【財務分析】TOTOが今は投資に重点を置く理由

3年で1650億円、効率的投資

TOTOは2030年を最終年度とする経営計画「TOTO WILL2030」で、売上高9000億円以上(21年3月期は5778億円)、営業利益率10%以上(同6・9%)を目標に掲げている。健全な財務体質を維持するとともに、海外を中心に効率的な投資を進め、収益率を高めていく。

健康や清潔意識の高まりで、同社製品はコロナ禍以前から世界で需要が高まっていた。「財務の安定・健全は当然だが、需要地での投資を活発化する必要がある」(田口智之取締役常務執行役員財務・経理担当)として、今は投資に重点を置く。

23年度までに主要市場の中国やベトナムの複数の工場で新・増設が続く。また米国やメキシコ工場の再編も計画する。今後3年間の投資計画1650億円のうち、560億円は海外工場向けだ。

20年5月にはコロナ禍による景気減速懸念から400億円を調達(うち300億円は金融機関、100億円はコマーシャル・ペーパー)。だが、中国の早期回復や日本市場が想定ほど落ち込まなかったことから21年4月に完済。最小限の影響で回避した。

21年3月期は自己資本比率50%以上を維持。利益剰余金は前期から145億円増の2977億円に高めた。大和証券エクイティ調査部の寺岡秀明チーフアナリストは「財務に問題はないが設備投資が重く、販促費をかけるわりに収益が上がっていない。米国でようやくウォシュレットが軌道に乗り始めたが欧州は赤字で、中国も利益率が落ちており、ここは要改善点。ただ長期的には収益が見込める」と期待する。

田口取締役は投下資本利益率(ROIC)を重視する。数値目標は明らかにしていないが「キャッシュは成長投資に配分し、その上で適切に株主還元する」考え。有利子負債から預金を差し引いた「ネットD/Eレシオ」は0・1―0・2の維持に努め、配当性向も40%以上を守る。

販管費率は30%前後と高いが、購買が次の投資につながるとして、数値を落とすことはしない。

日刊工業新聞2021年7月29日

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