復調するリフォーム事業。コロナ禍が吹かせた追い風
住宅設備各社の国内リフォーム事業が復調している。2021年4―6月期は、緊急事態宣言の影響を受けた20年4―6月期だけでなく、コロナ禍前の19年4―6月期よりも業績は好調だった。自粛生活で在宅時間が増え、リフォームで家を快適にしたいという消費者のニーズが各社の業績に追い風となっている。(大城麻木乃、大阪・池知恵)
「お金を使うなら旅行や外食ではなく、家をよくしたいという人が増えている」。LIXILの瀬戸欣哉社長は、21年4―6月期の決算説明会でこう述べた。同社の同期におけるリフォーム商材の国内売上高は760億円と、前年同期の663億円、19年同期の741億円を上回る。日本の売上高に占めるリフォーム商材比率は41%と、前年同期より5ポイント高まった。
これまでリフォームビジネスは、トイレを中心にした水周り製品が売れていたが、「窓や外壁など他の商品にも波及してきた」(瀬戸社長)。日本は新築を好む傾向にあるが、リフォームで長く住み続ける「欧米のリフォームの形にようやく近づいてきた」(同)と指摘。中長期のリフォーム需要の拡大に期待を寄せる。
TOTOは21年4―6月期の国内リフォーム事業の売上高が701億円と、前年同期比25%増、19年同期と比べても3%増えた。高付加価値品のウォシュレットの売上高が前年同期比4%増、19年同期比7%増と伸びたことが寄与した。
タカラスタンダードは住宅設備関連事業の21年4―6月期の売上高が497億円と、前年同期比13%増、19年同期と比べても約3%増加した。ホーロー製のシステムキッチンや浴槽、洗面化粧台の中高級価格帯が好調だった。ガラスと金属を素材とするホーロー製品は汚れに強く、アルコールの拭き取りで劣化しないことから「衛生意識の高まりが販売好調を後押しした」(梅田馨執行役員)と分析する。
一般的にリフォームの場合、今使っている製品よりも性能が良いものを求める消費者が多く、メーカーにとっては粗利益率の高い製品が売れ、利益面での業績への貢献も大きい。LIXILが「さらにリフォーム比率を高めていく」(瀬戸社長)と話すように、各社とも下期にかけてリフォーム市場を一段と掘り起こすことになりそうだ。