「川柳」も取り入れるTOTOの健康経営の成果
「なぜやせぬ?(1)おやつ(2)買い食い(3)つまみ食い」―。TOTOは従業員から「健康川柳」を募り、優秀作品を社員食堂などに掲示して健康意識の向上に努めている。新型コロナウイルスの感染が流行した2020年度はオンライン活用の運動セミナーなどを実施。同社は経済産業省と東京証券取引所が主催する「健康経営銘柄」に21年まで7年連続で選定されている。
TOTOが健康経営に力を入れ始めたのは13年。90年前後に大量入社した世代が40代を迎え、「加齢で健康リスクが高まる危機感があった」と人財本部ヘルスケアセンターの藤江昌明所長は振り返る。工場を中心とした各拠点ごとに健康増進スケジュールを作成。時季ごとにウオーキングやヨガ、川柳募集などの活動を決め、参加を呼びかけた。また拠点ごとに保健師や人事総務が兼務する「健康管理担当者」を配置し、健康診断で数値が低い人への指導や精神面での相談事に応じた。
健康管理、メンタルヘルス対策、健康増進(健康づくり)を3本柱に健康経営に取り組み、コロナ前の19年度までは目標とする定期健康診断時の労働者に占める異常所見者の割合(有所見率)と、休業率の維持(横ばい)を実現した。大量入社世代の年齢が上がるに連れて従業員の平均年齢が上昇する中、有所見率の改善は難しく、「いかに維持するかがポイントだ」(藤江所長)と強調する。
コロナ禍の20年度は、毎年4―5月に実施する健康診断を7月以降に繰り下げて実施。緊急事態宣言の発令で運動不足に陥ったり、病院の受診を避けて薬の服用を中断した社員が増えたりして有所見率がわずかに上昇したことが判明した。
これを受け、20年秋にジムのトレーナーに依頼してオンラインの運動セミナーを開催したほか、歩数計を使って個人やチーム単位で歩数を競う活動などを実施した。21年度も「オンラインを駆使して健康経営を継続する」(同)と張り切る。(大城麻木乃)