流通や小売りにも…半導体不足のマイナス影響はどこまで
自動車産業を中心に半導体不足の影響が広がっている。帝国データバンク(TDB)は、2021年度以降に半導体不足で事業に「マイナスの影響」を受けた上場企業が、115社にのぼるとの調査をまとめた。業種別では製造業が86社と最多で、中でも自動車関連産業への影響が目立った。完成車の減産に伴い関連する部品メーカーなどで生産調整を迫られるケースが多く見られるとしている。
調査はTDBが国内の各市場に上場する企業を対象に、21年度以降に適時開示された情報などを基に半導体不足の影響を調べた。
8月26日時点で半導体不足の影響を受けた企業は115社だった。うち売上高や利益など業績面でマイナス影響があった、または今後マイナス影響が見込まれる企業は60社だった。
製造業では自動車部品、金属プレス製品、自動車駆動装置など車関連産業への影響が目立った。卸売・小売業では新車の納期遅延が相次ぎ、自動車販売店など周辺産業で影響が出ているほか、カーエレクトロニクス品の店頭在庫が品薄や欠品となったケースもあったという。
TDBでは半導体不足に起因する本格的な減産や生産休止などの影響が製造業全体に広がり、長期化すると予想する。
商品在庫の不足や欠品といった影響は、流通や小売りなど川下産業にも徐々に波及していく可能性が高いとしている。
内容では生産面で影響を受けた企業が81社で全体の7割を占めた。
日刊工業新聞2021年9月8日