アゼルバイジャンの「グリーン水素構想」を支援する日揮の思惑とは
日揮ホールディングス(HD)はアゼルバイジャンの「グリーン水素構想」を支援する。太陽光や風力由来の電力を使った「グリーン水素」や「グリーンアンモニア」の生産を想定した設備建設の事業可能性を調査。石油や天然ガス、風力などカスピ海を中心に豊富な資源を持つアゼルバイジャンで二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代エネルギーの開発につなげる。
事業化調査は経済産業省の「質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業」として実施する。グリーン水素構想のインフラ整備に向けたロードマップも策定する。
アゼルバイジャンの経済は資源依存型で、輸出高の90%以上を石油・ガスが占める。一方、石油は減産基調にあるほか、2016年発効のパリ条約に批准していることから再生可能エネルギーの割合を現在の17%から30年までに30%へと引き上げることを目指している。
また外国企業の対内直接投資を積極化しており、4月にはアゼルバイジャン経済省と日本貿易保険(NEXI)が協力覚書を締結。日本企業のアゼルバイジャンに対する投資環境も整ってきた。
日揮HDは18年に産業技術総合研究所と共同で太陽光を活用したアンモニアの合成プロセスを実証した。太陽光由来の電力による水電解で水素を製造し、その後低温・低圧でアンモニアを合成。アンモニアガスタービンによる発電も行った。
日刊工業新聞2021年9月6日