止まらぬコロナ倒産。ペース加速で2000件に到達
飲食・建設・アパレルが上位
新型コロナウイルスの影響を受けたことによる企業倒産が、2000件に到達した。東京商工リサーチ(TSR)は31日、2020年2月からの累計が同日時点で2000件(負債1000万円未満、弁護士一任・準備中を含む)になったと発表した。前半1000件までは約1年かかったのに対し、後半1000件は約7カ月で到達し、ペースが加速している。飲食、建設、アパレルとコロナ禍の影響が大きい業種が上位を占める。(戸村智幸)
コロナ倒産は今年2月に1000件に達し、同月から7カ月連続で月100件を超えている。4月と6月がともに165件で月別最多で、8月も137件と高水準が続く。
ペース加速の原因は、コロナ禍の長期化だ。感染拡大当初は、以前から経営が傾いていた企業が、感染拡大の“ダメ押し”で倒産したケースが多かったとみられる。だが、度重なる緊急事態宣言などの人流抑制で、業績不振が長期化した企業が、事業継続を諦めるケースが最近は増えているという。
業種別でもその傾向がうかがえる。飲食が最多の366件、建設業が193件で続く。両業種は小規模事業者が多い。飲食は時短営業や酒類制限の影響で苦戦している。飲食の出店減少で、工務店の仕事が減る負の連鎖が起きている。アパレルも、小売りの77件、卸売りの66件、製造の25件と分かれるものの全体では多く、外出自粛による衣料品の需要減少が色濃く出ている。
コロナ倒産がハイペースで推移する一方、倒産全体は記録的な低水準で推移する。TSRのまとめでは、上期(1―6月)累計は前年同期比23・9%減の3044件。1972年以降では90年に次ぎ、2番目に少なかった。政府や金融機関の資金繰り支援策が倒産を抑える構図が続く。コロナ倒産も同様に、低く抑えられているとの見方もできる。
一方で、支援策があっても、コロナ禍の長期化で事業継続を断念した企業が増えている表れとも言える。コロナ倒産は、経営者や弁護士からコロナの影響を受けたと聞き取った場合を集計する。
倒産全体と異なり、負債1000万円未満も集計する点も特徴だ。小規模事業者の実態を反映している。1000万円未満の106件のうち、今年1―7月は57件で、前年同期より約4倍多い。
今後は、資金繰り支援による過剰債務問題が懸念される。休業中の企業が、再開を断念するケースも想定される。TSRは今後の推移について「小規模事業者を中心に、しばらく高止まりするだろう」と見通す。
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