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2050年の「脱炭素」達成に173兆ドルが必要。ブルームバーグが検討したシナリオの中身

50年脱炭素達成に173兆ドル必要

米金融調査大手のブルームバーグは、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「脱炭素」を達成するために、エネルギー関連で最大173兆ドルの投資が世界全体で必要と分析した。年間の投資額を現状比2倍の3兆1000億―5兆8000億ドルに引き上げる必要がある。

ブルームバーグは3通りのシナリオを検討した。再生可能エネルギーでの水素製造を優先するシナリオでは年14億キロワットのペースで再生エネを追加する。太陽光と風力発電の累計導入量が10億キロワットに達するまで20年かかっており、脱炭素に向けてペースアップが求められる。原子力発電で水素を製造するシナリオでは、50年までに原発の発電容量を現状比19倍の70億キロワットに増強する。

また、脱炭素達成のカギを握る30年までの導入ペースも分析した。風力発電は年5億キロワット、蓄電池は年2億キロワット時、電気自動車は年3500万台の普及が必要となる。

他機関も脱炭素への投資額を試算している。国際再生可能エネルギー機関は50年までに130兆ドル、国際エネルギー機関(IEA)は40年までに75兆ドルが必要としている。いずれでも脱炭素達成には巨額の資金を集中的に投資する必要がある。

日刊工業新聞2021年8月27日

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