AIで低栄養リスク予測、がん患者1万人分析の狙い
大塚製薬工場(徳島県鳴門市、小笠原信一社長)と富士通は、国立がん研究センター、国立長寿医療研究センターと、患者の低栄養リスクを予測する人工知能(AI)サービスを構築するための探索的な共同研究を始める。国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の電子カルテシステムに蓄積された、がん患者1万人分の診療データを匿名化する。その上でAIによる分析を実施し、患者の低栄養リスクを早期に予測するAIモデルの構築を目的とした探索的な共同研究を行う。期間は2022年3月末まで。
大塚製薬工場は、臨床検査値や治療情報などの診療データ分析により患者の低栄養を引き起こす因子を絞り込み、低栄養リスクを早期に予測するAIモデルの構築・検証を行う。富士通は、現在開発中の医療データを安全・安心に利活用するためのプラットフォーム(基盤)をはじめとする情報通信技術(ICT)を用いた診療データの分析を支援する。
両社は、この研究で得たAI予測モデルを全国の医療機関に普及させることで、将来は低栄養リスクの高い患者への早期栄養介入につなげ、治療効果の向上に役立てる。
日刊工業新聞2021年8月25日