「テレワーク疲れ」で都内企業はオフィス回帰。多様な勤務形態の恒常化は無理なのか

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テレワークの実施率が頭打ちの状況にある。長引くコロナ禍を受け、いわゆる“テレワーク疲れ”からオフィスに戻る動きが出ていることが一因しているとみられる。ただ変異株が猛威を振るい、新規感染者が大幅に減少する兆しはみえず、政府・自治体はテレワークの積極活用を推奨する。テレワークを新たな働き方ととらえ、いかに多様な勤務形態を恒常化させていくのか、企業は難しい課題を抱える。

7月実施率61%に低下、小規模企業ほど停滞

東京都がまとめた7月のテレワーク実施状況によると、従業員30人以上の都内企業のテレワーク実施率は61・9%で、6月の前回調査に比べ1・7ポイント低下した。都内企業のテレワーク実施率は今年2月と5月の64・8%をピークに伸び悩み、緊急事態宣言下にも上向いていない。むしろ、この2カ月は低下している。

テレワーク実施率の低さは規模が小さい企業ほど顕著で、従業員300人以上の企業の実施率が85・9%だったのに対し、100―299人の企業は69・4%、30―99人では52・8%と率が下がる。

テレワークを実施した社員の割合は49・4%と前回調査時に比べて0・2ポイント上昇している。だが、テレワークの実施回数は週3日以上が47・6%で前回調査時に比べ0・7ポイント低下した。テレワークを実施している企業でも、過半が週1、2回の実施にとどまっているのが現状だ。

テレワークの実施予定がない企業は従業員300人以上で9・4%、100―299人で25・6%、30―99人で35・7%と、ここでも規模が小さい企業ほどテレワーク活用に消極姿勢を示している。他方、半日・時間単位のテレワーク「テレハーフ」の実施割合についても20・2%にとどまり、前回調査時に比べて1・1ポイント低下している。

テレワーク実施率が頭打ち、あるいは低下傾向を示しているのは、長期に及ぶテレワーク疲れが背景にある可能性がある。日本生産性本部が企業・団体に雇用されている1100人(20歳以上)を対象に実施した調査(調査期間7月5、6日)によると、調査時の直近1週間(営業日ベース)の出勤日数0日(完全テレワーク)が11・6%と、前回の4月調査の18・5%から低下していた。逆に出勤3―4日が34・4%(前回28・4%)、5日以上が23・2%(同20・4%)とオフィス回帰が進んでいる。

テレワーク勤務で効率が上がったとの回答は全体の13・4%にとどまり、前回調査の15・5%を下回った。テレワークに満足しているとの回答も25・4%(前回27・1%)に低下しており、テレワーク疲れがうかがえる。

また労務管理上の課題もテレワーク実施率の伸び悩みを招いているようだ。「仕事の成果が適切に評価されているか不安」(31・3%)、「オフィスで勤務する者との評価の公平性」(21・9%)などを懸念する指摘があったという。

コロナ禍収束後にテレワークを実施したいかを尋ねたところ、「そう思う」は28・6%で前回調査の31・8を下回っていた。ポストコロナの働き方のあり方をめぐり、テレワークの課題が浮き彫りになりつつある。

日刊工業新聞2021年8月17日

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