食中毒ゼロへ。水産加工業界で話題の「アニサキス感電殺虫装置」とは?
ジャパンシーフーズ(福岡市南区、井上陽一社長)がアニサキスによる食中毒をなくすために開発した「アニサキス感電殺虫装置」が水産加工業界で話題となっている。今後2年以内に産業機器プラントメーカーが製造販売する。競合他社の利用にも門戸を開くのは異例だ。熊本大学産業ナノマテリアル研究所と共同で、戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)に採択されて開発した。
プロトタイプの装置(バッチ式)は瞬間的に出力1万5000ボルトを発生し、アニサキスを死滅させる。従来はマイナス20度Cで24時間以上冷凍して死滅させるか、人手による駆除しかなかった。
生サンマ加工業者から引き合いが来たほか、海外輸出用として生ブリを提案したい業者からの商談が舞い込んでいる。
ジャパンシーフーズ創業者の井上幸一会長は、松下幸之助の言葉「会社は公器」を引き合いに「広くこの技術を水産業界の発展のために使ってほしい」とした。その強い思いを受け井上社長は競合他社への販売に踏み切った。
日刊工業新聞2021年8月12日