試料を動かさず精度20倍でスキャン。理研が走査型X線顕微鏡の新技術

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理化学研究所の山田純平基礎科学特別研究員らと名古屋大学、大阪大学の共同研究グループは、走査型X線顕微鏡用の新しい高精度スキャン技術「X線ナノプローブスキャナー」を開発した。試料を動かさずにスキャンでき、スキャン精度は原子数個分に相当する1ナノメートル(ナノは10億分の1)程度と従来手法の10―20倍を実現した。ナノ分解能のX線顕微鏡観察や、X線分光分析の高度化への寄与が期待される。

X線領域で機能する屈折プリズムの「X線プリズム」と、X線の反射現象を使って集光・結像する光学素子「反射型X線レンズ」を組み合わせた。

X線プリズムにより、X線の進行方向を1000分の1度レベルの超微小角度で曲げた後、反射型X線レンズでX線を50ナノメートルまで細く集光して試料に照射する。

X線プリズムは高い偏向角制御性を持ち、これまで制御が難しかった1ナノメートル精度のスキャンを実現した。また、4回反射型の超高精度なミラーを持つ反射型X線レンズを開発し、短い波長のX線を理想的に反射・集光できるようにした。

実際に大型放射光施設「スプリング8」のビームラインで試料を動かさずにスキャンし、最小構造50ナノメートルを解像するX線顕微鏡画像を取得できた。

走査型X線顕微鏡ではX線プローブと試料の相対的な位置関係を高精度にスキャンする必要がある。

従来はX線を曲げるのは難しいとされ、X線ではなく試料をスキャンする装置が主体だった。

日刊工業新聞2021年8月12日

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