北海道の電力逼迫を救う「変換器」、来年3月稼働へ
新「北本連系線」、計90万kW融通
北海道と本州を結ぶ送電線「北本連系線」が9月の北海道地震以降、注目を集めている。北海道電力の火力発電所が被災し、道内の電力需給が逼迫(ひっぱく)した際には60万キロワットを送電し、電力供給を支えた。こうした中、新しい北本連系線が2019年3月に稼働する。現在の60万キロワットに30万キロワット加わり計90万キロワットの電力融通が可能になる。道内の電力の安定供給を高める上で重要な役割を担う。
北本連系線は北海道の函館変換所(七飯町)と青森県の上北変換所(東北町)を結び、60万キロワットを送電できる。長さは約167キロメートル。このうち海底ケーブルは約43キロメートルを占める。
Jパワーが管理している。両変換所の区間は直流で送電されており、変換所で交流を直流に、直流を交流に変換する。直流は交流と比べ「送電ロスが少ない」(三浦昭彦北海道電力送配電カンパニー工務部直流連系システムグループグループリーダー)など長距離送電に適しているためだ。
北海道地震の際、停電のため直流と交流を変換できない事態が発生し、約1日半の間、送電に支障をきたした。停電の復旧後は本州から北海道へ電力を供給し続けた。
こうした中、新しい北本連系線が19年3月に稼働する。北海道の北斗変換所(北斗市)と青森県の今別変換所(今別町)を結び、青函トンネル内にケーブルを通す。長さは約122キロメートル。送電容量は30万キロワット。事業費は600億円で北海道電力が建設する。
設置計画は11年の東日本大震災前に決定した。北本連系線は設備点検時に60万キロワットのうち30万キロワットを融通できるが、道内で発電所トラブルが発生した場合、電力の安定供給が困難だと判断。新北本連系線整備に乗り出した。
新北本連系線の特徴は、交流と直流の変換で「自励式変換器」を国内で初採用したことだ。自励式は電源がなくても交流と直流を変換できる。既設の北本連系は「他励式変換器」だったため北海道地震では交直変換できなかった。他励式と比べて電流調整に必要な設備が少なくてすみ、建設費を軽減できる利点もある。
北海道電力は12月末から新北本連系線の運用試験を始める。政府は北本連系線のさらなる増強について検討を始めたが、まずは新北本連系線の安定的な運用が重要だ。北海道電力の三浦グループリーダーは「周囲の期待が高まっている。確実に運転開始させたい」と気合を入れる。
(文=札幌支局長・村山茂樹)
北本連系線は北海道の函館変換所(七飯町)と青森県の上北変換所(東北町)を結び、60万キロワットを送電できる。長さは約167キロメートル。このうち海底ケーブルは約43キロメートルを占める。
Jパワーが管理している。両変換所の区間は直流で送電されており、変換所で交流を直流に、直流を交流に変換する。直流は交流と比べ「送電ロスが少ない」(三浦昭彦北海道電力送配電カンパニー工務部直流連系システムグループグループリーダー)など長距離送電に適しているためだ。
北海道地震の際、停電のため直流と交流を変換できない事態が発生し、約1日半の間、送電に支障をきたした。停電の復旧後は本州から北海道へ電力を供給し続けた。
こうした中、新しい北本連系線が19年3月に稼働する。北海道の北斗変換所(北斗市)と青森県の今別変換所(今別町)を結び、青函トンネル内にケーブルを通す。長さは約122キロメートル。送電容量は30万キロワット。事業費は600億円で北海道電力が建設する。
設置計画は11年の東日本大震災前に決定した。北本連系線は設備点検時に60万キロワットのうち30万キロワットを融通できるが、道内で発電所トラブルが発生した場合、電力の安定供給が困難だと判断。新北本連系線整備に乗り出した。
新北本連系線の特徴は、交流と直流の変換で「自励式変換器」を国内で初採用したことだ。自励式は電源がなくても交流と直流を変換できる。既設の北本連系は「他励式変換器」だったため北海道地震では交直変換できなかった。他励式と比べて電流調整に必要な設備が少なくてすみ、建設費を軽減できる利点もある。
北海道電力は12月末から新北本連系線の運用試験を始める。政府は北本連系線のさらなる増強について検討を始めたが、まずは新北本連系線の安定的な運用が重要だ。北海道電力の三浦グループリーダーは「周囲の期待が高まっている。確実に運転開始させたい」と気合を入れる。
(文=札幌支局長・村山茂樹)
日刊工業新聞2018年12月28日