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海技研が海底鉱物資源開発の事業性を計算するツール開発

海底熱水鉱床・集積港・海象、DB連携

海上技術安全研究所の中島康晴上席研究員らは、海底鉱物資源開発の事業性を計算する計画支援ツールを開発した。採鉱母船(プラットフォーム)の種類や鉱物の集積港、輸送形態、稼働日数などを入力すると総収入やコスト、総利益などを算出する。経済性を簡単に計算できれば、稼働日数やインフレ率などを調整しながら事業計画を立てられる。

海底熱水鉱床のデータベース(DB)と集積港のDB、波高や風速などの海象DBなどと連携させた。事業計画者が稼働期間や生産量、移動距離などを入力すると採鉱母船の大きさや排水量、鉱物の輸送に用いるシャトル船のサイズなどを計算して出力する。設備投資費用や運営費などの算定式は海技研で作成した。経済性評価のために鉱石価格やインフレ率のほか、為替を設定すると総収入や現在価値法(NPV)、内部収益率(IRR)を算出する。

事業計画に当たって必要な稼働日数や年間生産量などを概算できるほか、採鉱母船や採鉱装置、揚鉱装置といった設備投資と運営費のコスト構造が分かる。

2021年度中に海洋鉱物資源のコバルトリッチクラストのデータを追加する。さらに採鉱や揚鉱の稼働率を海象に応じて計算できるようにする。

海底鉱物資源は埋蔵量などの科学的調査が先行している。設備投資や運営費を含めて経済性を評価できると、資源開発の推進につながる。

日刊工業新聞2021年8月10日

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