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特殊フォークリフトを1日で設計可能にするAI活用技術の仕組み

豊田自動織機が開発
特殊フォークリフトを1日で設計可能にするAI活用技術の仕組み

豊田織機が展開する特殊仕様のフォークリフト。船の下で作業するため、屋根の高さを低くしフォークの形状も変えている(同社提供)

豊田自動織機は低所作業用など特殊仕様のフォークリフトの設計リードタイムを、最大で10分の1以下に短縮できる技術を開発、運用を始めた。人工知能(AI)を活用し、過去の設計事例を元にしたデータベースから、必要な部品や設計データを提示する。これまで5―10日かかっていた設計リードタイムを1日以下に短縮できる。今後、顧客のカスタマイズ要求に対して、迅速に仕様を提案する販売店支援ツールへの応用が期待できる。

顧客の作業環境や運ぶ荷物の形状、大きさに応じて回転灯位置やフォークの長さなどを変更する「特型フォークリフト」は、完全受注設計で製造する。過去の設計事例を流用できることも多いが、従来は人が数万件の実績から個別に検索して流用可否を判断していた。

開発したシステムは受注した特型フォークの特徴を入力すれば必要な部品の種類や型番の一覧、車種などをAIが自動で提示する。設計者が流用を判断する際のポイントを盛り込み、実績と完全に一致しなくても類似事例を提示する機能を設けるなど精度を高めた。

設計自動化システムの対象は国内生産機種。第5候補まで提示でき、部品一覧の完全正解率は約60%、類似実績の検索精度は95%以上を達成できた。システムの利用で、設計関連作業にかかる時間を年約2万時間削減できるという。

日刊工業新聞2021年7月6日

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