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「コロナ労災」1万件を超える。製造業でも増加の背景

新型コロナウイルス感染症にかかわる労災決定件数が累計で1万件を超えた。厚生労働省によると、業務に起因するとして労働者災害補償保険の請求があった件数は7月21日現在で累計1万5621件、決定件数は同1万1007件となった。感染の拡大を背景に、2021年4月以降は請求件数、決定件数ともに月1000件の大台を超えている。多くは患者の診療にあたる医療従事者だが、製造業、運輸・郵便業などでも増加傾向にある。

全国の都道府県労働局からの報告を厚労省がまとめた。最初の決定は20年5月に7件だけだったが、同年7月には月226件に増え、21年3月には同2048件と急増した。累計で、1000件を超えるまでには7カ月かかったが、2000件までは9カ月、5000件までは12カ月、1万件までは15カ月と加速度的に増えている。

7月21日現在の累計決定件数を業種別にみると、医療業、社会保険・社会福祉・介護事業といった「医療従事者など」が8570件、それ以外の業種が計2420件、海外出張者は計17件だった。

厚労省は20年4月、感染経路が特定されなくても、業務で感染した可能性が高く、業務に起因したと認められる場合には、労災保険給付の対象とすると通達。感染が疑われる多数の患者の診療に日々あたっていた医師や看護師のほか、後日陽性が確認された作業員と同じ作業車に同乗して確認された作業員、陽性者が勤務してリスクが増していた事務所で働いた事務員らが対象になるという。

日刊工業新聞2021年8月6日

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