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コロナワクチンで採用目指す。流通を効率化する製剤技術とは?

モリモト医薬が開発
コロナワクチンで採用目指す。流通を効率化する製剤技術とは?

A5用紙サイズの箱に1000人分の投与量を収められる

モリモト医薬(大阪市西淀川区、盛本修司社長)は、常温管理が可能な粉末状のワクチンについて、流通を効率化する製剤技術を開発した。液体のワクチン製剤を凍結して粉末化する同社の「連続凍結乾燥装置」を用い、容量10ミリリットルのバイアル瓶で、従来の粉末製剤比約5倍にあたる25回の投与分を確保できる。新型コロナウイルス感染症ワクチンへの採用を目指す。

1瓶に多くの投与量を充填でき、生産から接種までの流通を効率化できる。A5用紙サイズに相当する底面の箱に1000人分の投与量をコンパクトに収めることが可能。従来の凍結乾燥は一定量をまとめて生産していた。ただ、装置内で長時間かけて凍結乾燥するため、液体ワクチンに比べて生産効率は約10分の1と低いという。またバイアル瓶内の製剤容量が多いほど凍結乾燥に時間を要する。

連続生産工程のモニタリング技術で京都大学、流通では東邦ホールディングスといった複数他者と連携している。2022年内にワクチン製造設備を本社工場に導入するなど、実用化に向けた生産体制を早期に構築する。

連続凍結乾燥装置は、ワクチン製剤を真空管にスプレー状に噴霧する。製剤は落下とともに凍結し、粒子状になる。粒子は乾燥機に入った後、連続的に取り出せる。液体ワクチンと同等の生産効率を実現し、輸送や保管時の冷凍設備が不要。離島や発展途上国への輸送効率も上がる。

日刊工業新聞2021年8月4日

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