革新的創薬・後発品・流通を3本柱に。厚労省が「医薬品産業の指針」を見直す事情

コロナ禍契機、ワクチン・治療薬を迅速開発

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厚生労働省は革新的創薬、後発医薬品、医薬品流通を3本の柱に「医薬品産業ビジョン2021」を策定する。日本の医薬品産業の方向性について、政府の考え方を示すとともに、具体的な施策の方向性を明確にする。同ビジョンを策定するのは13年以来8年ぶり。8月中にまとめる。22年度の同省の概算要求に、同ビジョンの一部を反映していく。(幕井梅芳)

医薬品産業ビジョンは、従来のようにすべての製薬企業を対象とせず、限りある財源を念頭に置きながら、革新的創薬と後発医薬品、医薬品流通の3分野に対象を絞る。3分野について、研究開発、薬事承認、製造、流通の各フェーズに応じた施策の課題を挙げた。

研究開発領域ではワクチン・治療薬など政策的に優先度の高い領域や分野について、対象を絞って予算と人材を集中させる。また、産学官連携によるバイオインフォマティション(生命情報学の基礎知識)確保のための取り組みや学術分野での研究評価方法の多角化を図るなど、人材による研究開発力強化につなげる。

薬事承認領域では治療薬・ワクチンの効率的・迅速的開発のため、承認審査時の海外治験データのさらなる活用のあり方や緊急事態での特別使用許可制度のあり方を検討する。

製造領域では安定確保が必要な医薬品のうち優先度の高いものに関するサプライチェーン(供給網)の把握や構造的リスクを洗い出す。併せて、企業に対し在庫積み増しや複数リソース化などの要請を行う。

流通領域では流通ガイドラインなどの見直しを徹底し見える化して、適切な価格交渉による流通慣行の改善を実現していく。

厚労省が同ビジョンを見直す背景には、新型コロナウイルス感染症に伴うワクチン・治療薬開発への期待の高まりや技術の進展による創薬の高度化・効率化など創薬競争環境の変化がある。また、医薬品の供給網のグローバル化に伴う安定供給リスクの上昇や国内回帰への要請が高まってきていることも挙げられる。

日刊工業新聞2021年8月4日

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