社会人向け推薦入試を始める近畿職業能力開発大学校の狙い
近畿職業能力開発大学校(大阪府岸和田市)は2022年4月入学から社会人向けの推薦入校試験を始める。本校のほか、付属校となる京都府と滋賀県の職業能力開発短期大学でも導入。厚生労働省によると新規高卒で就職した約4割が3年以内に離職していることから、新制度により早期の学び直しを促す。全国の職業能力開発大学としては初めての試みとなる。
入試の対象となるのは、就職したものの辞めてしまったり、非正規雇用などで働いていたりする人などを想定する。近畿能開大は専門課程と、その卒業生などを対象とする応用課程がそれぞれ2年間で、募集するのは専門課程。全4学科110人の定員のうち、同入試による募集は若干名としている。10月実施の一般の推薦入試よりも早い9月12日(付属校は別)に実施し、優先的に選抜する。
近畿能開大では既卒の応募者が過去5年間で12%を占め、その多くが20代前半。新制度によって、不安定な職業に就く若者などをいち早くすくい上げ、技能・技術の習得を促して、再スタートを後押しするのが狙いだ。また18歳人口の減少を見据え、応募者の幅を広げる狙いもある。
高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する各地の職業能力開発大学校では、これまでも企業実習と組み合わせた「デュアルシステム訓練」という枠組みで社会人経験の無い既卒者を教育するコースを設けてきた。近畿能開大でも04年に生産技術科(現在はメカトロニクス技術科)を設置している。
日刊工業新聞2021年7月5日