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eロボティクスなどがドローンによる気象観測を実証

eロボティクスなどがドローンによる気象観測を実証

ドローンによる気象観測システムのメンバー

eロボティクス(福島県南相馬市、山城雅昭社長)、東日本計算センター(同いわき市、鷺弘樹社長)、福島大学などは共同で飛行ロボット(ドローン)による高精度な気象観測システムの実証実験を福島ロボットテストフィールド(RTF)周辺で行った。主に東北地方で春から夏に発生して農業に被害を与える低温の偏東風「やませ」の予測・観測システムの実用化が目的。10月には海岸線の5カ所からの同時飛行を予定しており、2022年度の実用化を目指す。

両社はこれまでに最大27機のドローンを隊列飛行し、上空を面で3次元で観測するシステムの実証に成功している。新たに実施した実証はこの技術を活用し福島大がリーダーとなって上空での高精度な観測を基にした数値気象予測の実用化を目指すもの。福島県の産学連携ロボット開発支援事業に採択されている。

まずRTF付近の海岸線1キロメートルの5カ所からドローンを同時に飛ばした。使用したのは米フリーフライシステムズの産業用大型ドローンで、上部に気象データ(温度、湿度、風向、風速、気圧)を観測する「ウエザーステーション」とカメラを搭載。高度50メートルから500メートル、幅100メートルの海上の上空6カ所でホバリングして2分間ずつ測定。計30ポイントを3次元で観測した。

これまでやませについてはシミュレーションで予測していたが、上空で気象観測装置で実測する事により、観測精度の格段の向上が見込める。今回の観測ではドローンを高度1000メートルまで飛ばし、特殊レンズで雲の粒の観測も行った。

10月には南相馬市からいわき市に至る福島県の海岸線25キロメートルの5カ所からドローンを高度500メートルまで同時に飛ばし、上空観測する計画。22年度には全てのドローンからのデータを地上のコントロール装置へリアルタイムで送るシステムに仕上げていく。(いわき)

日刊工業新聞2021年8月4日

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