加速する「ボトルtoボトル」。ローソン・セブン・イオンが施策を強化

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ローソンの店頭に回収機を設置し、実証を行っている(横浜新子安店)

小売り大手がペットボトルの水平リサイクル「ボトルtoボトル」の取り組みを加速している。ローソンが飲料メーカーとの連携による実証実験を始めたほか、店頭回収の強化や自社のプライベートブランド(PB)商品で再生ペット樹脂の利用を拡大するなど、活発化。プラスチックの使用量削減に向けた動きが急速に広がっている。

コンビニ、店頭に容器回収機 飲料メーカーと連携

ボトルtoボトルは、使用済みのペットボトルを廃棄物ではなく資源として活用し、ペットボトルに再生する循環型リサイクルの仕組み。石油資源の使用抑制と二酸化炭素(CO2)排出量の削減に役立つ。コンビニエンスストアやショッピングモールなど、日常生活のインフラといえる店舗を回収の拠点に、顧客参加型の資源循環に取り組んでいる。

横浜市神奈川区にあるローソン横浜新子安店。この店舗を舞台に、キリンホールディングス(HD)とローソンの連携による使用済みペットボトル容器回収の実証実験が15日から始まった。

キリンHDが独自開発したペットボトル減容回収機をローソンの店舗に設置。店舗で回収したペットボトルをキリンHDの自動販売機のオペレーションルートを使って収集し、リサイクル工場に搬入する。ロイヤリティマーケティング(東京都渋谷区)が運営する共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」のポイントを回収量に応じて付与。参加意欲を引き出し、回収機の認知に加えリサイクルの促進を目指す。

キリンHDが開発したペットボトル減容回収機

同店での会見に出席したローソンの竹増貞信社長は「プラスチック削減は、企業として取り組まなければならない課題の一つ」と強調した。その上で「飲料メーカーがペットボトルを自主回収し、リサイクルするという初の試みに参画でき、大変喜ばしく思う」と述べた。

再生ペット原料確保

店頭でペットボトルを回収し、つぶす装置。セブン&アイは回収を強化し再生ペット原料確保につなげる

コンビニ大手3社は、2050年にオリジナル商品の容器包装で環境配慮型素材100%使用の目標を掲げる。達成に向けて、ボトルtoボトルの取り組みを拡充している。

セブン&アイ・ホールディングス(HD)は現在、ペットボトル回収機を1000台設置し、ペットボトルの回収実績が20年度で3億3000万本に上る。

今後、ペットボトル回収機を年間1000台以上増設し、プラスチックの店頭回収を強化する。

さらに、国内最大級のペットボトルリサイクル樹脂製造会社の協栄J&T環境(津市)に資本参加。店頭で回収したペットボトルを原料にし、PB商品で使用する再生ペットの確保につなげる。再生ペットの確保を通じ、PB「セブンプレミアム」の容器や商品でのリサイクル・環境配慮型素材の活用で、現在の約200アイテムから1000アイテムに拡大する計画だ。

セブン&アイは、ペットボトル回収機の増設のほか、店舗で使用する電力の再生可能エネルギー100%化に向けた太陽光発電の拡大や、省エネルギー設備の導入などに21―25年度の5年間で約1250億円を投じる方針で、サステナブル(持続可能)経営を推進する。

環境配慮、PB商品で利用拡大

容器原料に再生ペット樹脂を100%使用したファミマの「天然水」

セブン&アイの計画同様に、PBでの利用も広がっている。ファミリーマートはPBの「天然水」2商品の容器を、使用済みペットボトルからリサイクルした再生ペットを100%使用したボトルに変更した。新容器への切り替えで、石油から新規に製造される年間プラスチック使用量を20年度比約780トン削減、製品製造での年間CO2排出量を同約750トン削減できる見込みだ。

イオンはPB「トップバリュ」で、使用済みペットボトルを再生した樹脂をボトル本体に使用した環境配慮型商品を拡大。6月からボトル本体部分に再生ペットを100%使用した日用品の詰め替えボトル6品目と、ボトル本体に再生ペットを20%使用した飲料3品目を展開した。トップバリュ商品で再生ペットを利用する取り組みを進めており、20年秋発売の「トップバリュグリーンアイフリーフロム 肌洗浄剤」シリーズでは再生ペットを95%使用、21年5月に発売した茶飲料では20%使用している。

小売りでは、レジ袋の有料化を代表例に、消費者と環境問題が密接に結びつく。これまでもマイバッグの推奨や店頭での資源回収などに積極的に取り組んで来た。小売りの取り組みを通じて、環境問題が身近に感じると言っても過言ではないだろう。

店舗に設置されたペットボトル回収装置に加え、使用済みペットボトルの再生ペットを使用した容器の商品の数々。ボトルtoボトルは消費者の目に見える形で、着実に進んでいる。店舗は資源の回収拠点であるだけでなく、消費者への情報発信拠点でもある。消費者の環境意識は一段と高まっている。このリサイクルシステムの高度化、さらなる安定運用に向けて、各社の取り組みは続く。

日刊工業新聞2021年7月26日

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