ニュースイッチ

要支援者の避難を防災アプリで手助け、「移動サポーター」とマッチング

要支援者の避難を防災アプリで手助け、「移動サポーター」とマッチング

「防災ヘルプサービス」は地図で避難の要支援者の状況を把握できる

パソナテック(東京都千代田区、栗本裕司社長)は、自治体向けに開発した防災システムを2022年4月に発売する。同システムのアプリケーション(応用ソフト)を通じて、災害時に高齢者など自力で避難できない「要支援者」と地域のボランティアなどの「移動サポーター」をマッチングできる。自治体は位置情報などをもとにリアルタイムで避難行動を把握できる。25年までに全国で100自治体への導入を目指す。

開発したシステムは「防災ヘルプサービス」。全てのサービスを含んだ価格(消費税込み)は初期費用が150万円、利用料が自治体の規模に応じて一カ月で20万円からを想定する。今後、各自治体との連携で価格が変更する可能性があるという。

同システムは、豪雨や洪水などの自然災害に対応する。避難が必要な時は、登録済みの高齢者や障がい者などに対して電話で自動音声による避難指示を通知する。避難支援が必要な人は電話で要請できる。

この要請を受け、移動サポーターに対し、スマートフォン(スマホ)のアプリを通して避難支援が申請されていることを知らせる。アプリの地図上には要支援者の住所が赤色のピンで示される。近隣のサポーターが対応すればピンの色が変わり、自治体や他の移動サポーターは現在の避難状況が分かる。移動サポーターは防災関連の民間非営利団体(NPO)や地域の協力企業を想定する。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて避難所の混雑状況が把握できる機能なども追加した。さらに地震や津波といった地域の移動サポーターでは対応できない大規模災害の場合は消防当局や自衛隊など他の公的機関と連携できるような仕組みも取り入れている。

愛知県豊田市の中田自治区と大島町自治区では、20年末に同サービスを使った実証を行った。大雨洪水警報が発令されたと想定し、移動が困難な要支援者、移動サポーター、行政・自治区側管理者の3者に分かれて避難シミュレーションを実施した。

編集部のおすすめ