スズキのOEM車種を拡充、トヨタがアフリカ事業を加速する狙い

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スズキのミニバン「エルティガ」

トヨタ自動車が、アフリカ事業を加速する。同事業を手がける豊田通商が、年内にスズキからのOEM(相手先ブランド)供給を2車種拡充するほか、南アフリカの工場でハイブリッド車(HV)の生産を始める。アフリカは経済発展に伴い、個人需要が市場成長のけん引役になると予想される。広範な販売網を基盤に、モビリティーサービスから中古車販売も含め全方位で事業を強化し事業拡大を目指す。(名古屋・政年佐貴恵)

トヨタはスポーツ多目的車(SUV)「ランドクルーザー」をはじめとする大型車で、アフリカ市場で圧倒的なブランド力を誇る。同市場でのシェアは18―19%と首位だ。一方、課題だった小型車ラインアップは、スズキとの提携関係を生かし戦略を強化する。年内にスズキのセダン「シアズ」とミニバン「エルティガ」の供給を受ける予定。2022年には6月に立ち上がったガーナの工場で、スズキ「スイフト」のセミノックダウンも始める。

南アの工場では、アフリカで初となるHV型の小型SUV「カローラクロス」の生産を始める。加えて豊通の今井斗志光アフリカ本部COO(最高執行責任者)は「顧客が懸念するバッテリーの劣化に備え、リユースやリビルドできる設備を販売店に設けて中古HVにも対応していく」と方針を示す。

脱炭素は世界的なテーマだが、アフリカでは充電インフラや航続距離の課題があり、電気自動車(EV)の普及は当面難しい。今井COOは「二酸化炭素を減らす最適解はHVだ。HVの投入で少しでも脱炭素に貢献したい」と説明する。

トヨタはアフリカでの事業拡大を通じ、雇用創出や人材育成といった効果も狙う。22年には現地のトレーニングセンターで、難民向けの技能研修も始める計画。豊通の今井COOは「現地の人に寄り添って人材育成するのが、トヨタらしい“幸せの量産”の一つの道筋だ」と話す。

豊通は20年に97万台だったアフリカの新車市場が、25年に約1・5倍の150万台に成長すると試算する。車両生産だけでなく、複数のモビリティーサービス系企業への出資や中古車取扱量の引き上げなども計画。全方位の事業展開で、シェアを25%に引き上げる目標だ。

日刊工業新聞2021年7月9日

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