環境負荷の低い「ターコイズ水素」。エア・ウォーターなどが開発する高効率な製造システムとは?
エア・ウォーターと戸田工業は、「ターコイズ水素」と呼ばれる環境負荷の低い水素を、都市ガスなどのメタン原料から高効率に製造するシステムを共同開発すると発表した。鉄系触媒を使うメタン直接改質法(DMR)の反応炉などを用いる。副産物として生まれるカーボンナノチューブ(CNT)を販売して産業ガス用水素のプラント引き渡し価格を引き下げ、政府目標より20年早い2030年に1立方メートル当たり20円の達成を目指す。
戸田工業の鉄系触媒とDMR連続式回転炉を使い、メタン原料から水素濃度70%の反応ガスと高導電性CNTを生成する。エア・ウォーターが膜分離と吸着分離の技術を用いて反応ガスから濃度99・99%以上の水素を精製。未反応ガスは反応炉で再利用する。CNTは戸田工業が導電性材料、放熱部材などの用途に販売する。
22年度に実証を終え、24年度の実機稼働を目指す。実証予算は約8000万円、実機は10億―20億円の投資を見込む。
25年度以降に再生可能エネルギーやカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)エネルギーを使って反応炉を稼働し、二酸化炭素(CO2)を排出しないターコイズ水素の提供を実現する計画だ。
日刊工業新聞2021年7月8日