攻勢強める中韓勢に対抗、JMUが年100億円投資で繰り出す一手

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JMUの呉事業所

ジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市西区、千葉光太郎社長)は、2025年度をめどに建造コストを従来比1−2割削減する。造船・海運業界を支援する海事産業強化法の枠組みを活用。21年度以降、老朽更新を含めて生産性向上に向けて年100億円程度を目安に設備投資するほか、提携先の今治造船(愛媛県今治市)と新造船の仕様統一を進めて調達力を高める。攻勢を強める中国や韓国勢に対抗する。

JMUはこの2―3年の受注環境の悪化に伴い抑制していた設備投資を順次再開する。各事業所が作業方法や手順を抜本的に見直し、情報通信技術(ICT)の活用を拡大。事業所の適正規模を維持しつつ、一連の生産革新や設備投資で工数も従来比2―3割程度減らせる見込み。

専門部署を設けてロボットやIoT(モノのインターネット)を活用したスマートファクトリー化を推進しており、津事業所(津市)では一定の効果を上げている。呉事業所(広島県呉市)、有明事業所(熊本県長洲町)へと範囲を広げる。

造船業界では韓国、中国勢が台頭するが、日本では5月に海事産業強化法が成立。国土交通省は造船、海運業界の支援策を今夏始める見通し。新造船の発注を喚起する環境整備などを進め、造船会社の事業基盤を強化する。安定的に船舶を供給できる体制を確保し、地方創生につなげ、安全保障に貢献する建造量も維持する狙い。

足元は円安など新造船の受注環境が好転している。コンテナ船を中心に商談が増加し、バラ積み運搬船の船価も回復傾向。液化天然ガス(LNG)燃料焚(だ)きの環境負荷の少ない新造船への代替も進む。

ただ、供給力過剰の状況に変わりはない。鋼材や資機材の価格高騰も収益を圧迫する。

JMUは舞鶴事業所(京都府舞鶴市)での商船建造を終了するなど合理化を進めている。また、国内建造量首位の今治造船との資本業務提携により共同出資の日本シップヤード(東京都千代田区)を設立し、事業基盤を強化している。

日刊工業新聞2021年7月8日

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