若年層向けビジネス創出プログラムで生まれた「フェムテック」のアイデアが面白い

東京工業大学関連のベンチャーキャピタルのみらい創造機構が開催

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若者がジェンダーについて学び、女性の課題などを技術で解決する「フェムテック」ビジネスに挑戦―。東京工業大学関連のベンチャーキャピタルのみらい創造機構(東京都渋谷区、岡田祐之社長)などが若者層向けビジネス創出プログラムを開いている。こうしたテーマで男女の参加者が分け隔てなく議論して発表する機会は珍しく、初回のイベントではユニークなアイデアが披露された。(編集委員・山本佳世子)

【18―25歳が参加】

ビジネス創出プログラム「ジェンダークエスト」は、4―10月の期間を二つに分けて行われる。みらい創造機構、女性のヘルスリテラシー向上を掲げる日本女性財団(東京都千代田区、対馬ルリ子代表理事)などの共催。初回の「共創シーズン1」はみらい創造機構子会社の高専キャリア教育研究所(同渋谷区)のネットワークを活用し、18―25歳の高等専門学校生や大学生、社会人が集まった。春からジェンダー勉強会などを開始し、約2カ月後にビジネスプランを発表した。

【片親の育児相談】

出場5チームの中で1位に選ばれたのは母と息子、父と娘という“クロス片親”向け子育て相談サービス。性教育の難しさを仮説に立てたが、調査で多様な悩みがあることが明らかになった。そこで相談者が親子の年齢、性別、子育て経験などの項目から回答者を選択し、相談できるウェブサービスを考えた。

審査員の日本女性財団設立共働発起人の日野佳恵子氏が「女性消費者動向の専門家として、今すぐ起業を勧める」と推したのは、男性向けメークのコミュニティー構築のプランだった。男性向けは情報が少ない上、「メークを知られたくない」という女性と異なるニーズもある。発表チームは若者向けの手軽さを強調したが、「富裕層の男性を対象にしては」という他の審査員の意見も出て、事業の狙いと収益性のバランスを考える事例となった。

【技術発揮を】

ほかにも「育児休業は当然、妻が取得すべきだ」というカップル間の価値観のズレ解消に向けた支援や、個人差の大きい生理の症状と解決商品の提案を体系化するサービス、職場メンバーのコンディション共有ツールが発表された。今回の発表案件は全てウェブサービスのアイデアだったため、「テクノロジーの強みを発揮してほしい」(菅野流飛みらい創造機構執行役員)と次回に期待する声も上がった。シーズン2は7月末に始まる予定。

日刊工業新聞2021年7月6日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

紙面に載せられなかったが、チームメンバーの所属がおもしろい。1位のクロス片親(原稿校閲ソフトでは、片親はひとり親、と赤字修正が出てくるが、ここではサービスの固有名詞として記述)は、学習院女子高等科(女子高生)に慶大、それに東工大と東北大はともに高専編入生という組み合わせだ。他チームをみると高専生が多めだが、一橋大生あり、社会人(PR・ブランディング会社と、コンサルティング会社)ありと多様だ。そして年長世代の私は「フェムテックが世の中に出てきただけですごいと思っていたのに、若年世代ではこんなに多くの男性が関心を寄せてくれるのか!」と衝撃を受けた。私は基本、「時代は常に、よい方に動いている」と思う(思いたい)タイプだが、時代は常に、年長世代が思う以上のスピードで変わっているのだろう…。

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