「縄文遺跡群」世界遺産へ、ユネスコ諮問機関が三内丸山など登録を勧告
日本最大級の縄文集落跡で知られる三内丸山遺跡(青森市)など17の遺跡で構成される「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田各県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が世界文化遺産への登録を勧告した。文化庁が明らかにした。
自然遺産の「奄美大島、徳之島、沖縄県北部および西表島」(鹿児島、沖縄両県)の登録も10日に勧告されており、いずれも7月にオンラインで開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式決定される見通し。
国内の世界遺産は、これまでに23件登録されている。縄文遺跡群が登録されれば、文化遺産は2019年の「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)に続き20件目となる。
登録が勧告された17遺跡は、竪穴住居跡などの集落跡や環状列石(ストーンサークル)、共同墓地などで構成。国の特別史跡に指定されている三内丸山遺跡と大湯環状列石(秋田県鹿角市)のほか、北黄金貝塚(北海道伊達市)、御所野遺跡(岩手県一戸町)などの史跡も含まれる。
縄文時代は約1万5000年前に始まり、稲作が本格化する弥生時代まで1万年以上続いた。農耕や牧畜を基盤とした同時期の世界の他地域と異なり、採集や漁労、狩猟をなりわいとする定住生活で、イコモスは「先史時代の農耕を伴わない定住社会と複雑な精神文化に加え、定住社会の発展段階やさまざまな環境変化への適応を示している」と評価した。
一方、「不適切な構造物」の撤去なども求めた。大湯環状列石は中央部に道路が通っており、文化庁は自治体と協議し対応を検討する。
文化審議会は18年に推薦候補に決定したが、政府が奄美大島の推薦を優先したため、19年に再び候補に選出。20年に政府が推薦書をユネスコに提出した。
ユネスコ世界遺産委員会は毎年開かれているが、20年は新型コロナウイルスの影響で延期となり、7月の委員会では、昨年と今年に予定されていた審査が同時に行われる。