惑星ローバーを進化させる、東大・JAXAが開発したディープラーニング活用技術の中身

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画像的な特徴点の多い地形(JAXA提供)

東京大学の本橋優俊大学院生と宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の久保田孝教授らは、惑星向けローバー(探査車)が自己位置を測る手法を自動で切り替える技術を開発した。深層学習(ディープラーニング)でタイヤが滑りやすい地形か、画像的な特徴のない地形かを判別する。人間がローバーからの映像を見て位置計測の方法を選ぶ頻度を減らせる。

ローバーは自機の位置や走行軌跡を求めるために2種類の手法を取る。タイヤの回転数から計測する場合は、砂地や斜面などで空転が発生して距離が分からなくなるケースがある。一方、周辺映像から画像的な特徴点を抽出して三角測量で自己位置を計算する手法では、平地など特徴が少ない地形で位置を見失う課題があった。

そこでスリップしやすい地形か、画像的に特徴点を取れる地形なのかを深層学習で判別する。スリップしやすい地形と特徴点の多い地形、特徴点の少ない地形の判別精度は85%。スリップしやすく特徴点の少ない地形は55%だった。地質が入り組んだ画像では判定ミスがあった。

画像的な特徴点の少ない地形(JAXA提供)

深層学習のための計算負荷は小さくないが、ローバーが一度立ち止まって現地の画像で学習することを想定する。従来は人間がローバーから送られてくる画像を基に計測方法を選んでいた。ただ、惑星間の通信には時間がかかり、その都度、人が判断しているため探査が進まない一因になっていた。

日刊工業新聞2021年6月18日

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