天然ガスと既設の蒸気タービン活用でCO2削減!発酵調味料の工場で取り組むSDGs
三菱商事ライフサイエンス(東京都千代田区、藤木洋社長)は、発酵関連技術による天然調味料などを生産する子会社、興人ライフサイエンスの佐伯工場(大分県佐伯市)で天然ガスと既設の蒸気タービンを有効活用した二酸化炭素(CO2)削減を進めている。
同工場は1953年に溶解用パルプ工場として操業を始めた。その後、発酵技術などを生かし、天然調味料や医薬品原料といったバイオサイエンス領域に進出した。20年1月には、同工場の敷地内に新研究棟を立ち上げている。
現在、稼働する発電設備は日鉄エンジニアリング(東京都品川区)と共同で、19年に完成した。既設の重油炊きボイラの老朽化更新と、重油から液化天然ガス(LNG)へ燃料転換するため、約8000キロワットのガスタービンコージェネレーション(熱電併給)システムを新たに導入した。
既存の蒸気タービンは廃棄することが一般的だったが、ガスタービンコージェネレーションシステムと、既設蒸気タービンを組み合わせた「ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)」を採り入れた。
これにより、既設蒸気タービンからの発電量を3000キロワット程度、増加させることに成功した。
タービンの吸気冷却によって得られる温熱のLNG気化熱へ活用するなどし、既存設備と比べて約40%のCO2削減につなげた。
三菱商事ライフサイエンスの専務執行役員で、興人ライフサイエンス社長の篤田崇広氏は、「佐伯工場はコロナ禍においても出荷高が堅調に推移している。今後の生産能力の増強を考える上でも設備の役割は大きい」と強調する。
こうした取り組みを通じて国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成に貢献していく。