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スポンジ状に造形できる3Dプリンター用樹脂が面白い

スポンジ状に造形できる3Dプリンター用樹脂が面白い

直径1マイクロ―4マイクロメートルの微細な穴を多く含む3Dプリンター用樹脂「カヴェルナPP」

長瀬産業は微細な穴を多く含むスポンジ状の造形が可能な3Dプリンター用樹脂「Caverna(カヴェルナ)PP」を開発した。通気性に優れるなどの特徴を生かし、フィルターや靴などの素材としてメーカーに販売する。5月に欧米で販売を始めており、将来的には日本国内での展開も目指す。

特殊樹脂などを手がける子会社の米インターフェイシャル・コンサルタンツが開発した。価格は500グラムで110ドル(約1万2000円)。

同製品は材料押出堆積法の3Dプリンター用樹脂。ポリプロピレン(PP)に水溶性樹脂を練り込んだもので、造形物を水に漬けると水溶性樹脂が溶け、直径1マイクロ―4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の微細な穴が多く残る。従来品と異なり内部の穴がつながっているのが特徴で、通気性が良いのに加え液体を含みやすい。

将来的にはABSやナイロンなどの樹脂もスポンジ状に造形できるよう技術開発を進める。

矢野経済研究所によると、3Dプリンター材料の世界市場規模は2021年時点で約3418億円(予測)。23年には約4750億円まで拡大する見通し。長瀬産業は「スポンジ状の樹脂はニッチな材料だが、顧客のアイデア次第でさまざまな用途に使えそうだ」と期待する。

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日刊工業新聞2021年6月11日

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