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牧野フライスが工作機械の周辺機器開発に参入。その狙いとは?

牧野フライス製作所は工作機械に付随する周辺機器の独自開発に参入した。新ブランド「スマートツール」を立ち上げ、独自に開発した工具や取付具、測定具、ソフトウエアなどの商品をそろえる。汎用のマシニングセンター(MC)で専用工程を実現。第1弾として半導体製造装置や真空装置の部品加工専用の3製品を投入する。

工作機械の周辺機器を独自開発することで、加工の品質向上や製品コストの低減、競争力の強化につなげる。まず第5世代通信(5G)や電気自動車(EV)の普及で需要が高まる、半導体製造装置・真空装置の部品加工向けから展開。今後、年間6種類を目標にスマートツールの製品群を拡充する。高山幸久執行役員営業本部長は「機械だけでなく工具や加工技術で顧客の利益を最大化する」と意気込む。

発売した半導体製造装置・真空装置の部品加工用の3製品は、真空バルブなどのシール面の高品位仕上げに使う。手作業での磨き工数を削減し、製造期間を短縮する。一定の制限はあるが、既存のMCに後付け可能だ。

円状のシール面の旋削仕上げをMCで実現する「シンクロスピナ=写真」は、消費税抜きの価格が137万円。エンドミルなどの切削痕を除去するベルト研磨装置「ベルトトラックフィニッシャ」は同54万円。加工制御と専用バイトの組み合わせで従来比6倍の毎分6000ミリメートルの切削送りでシール面を仕上げる「スーパーヘール加工」は同65万円。

販売目標はシンクロスピナとベルトトラックフィニッシャが年間80本、スーパーヘール加工が同100本。3種とも面粗さ(Ra)0・4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)を実現する。


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日刊工業新聞2021年5月24日

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