コロナはデジタル化推進のトリガー!工作機械各社は新たな営業スタイル開拓に急ぐ

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JIMTOF2018に展示した牧野フライス製作所のデジタルボックス

コロナ引き金

新型コロナウイルス感染症は、工作機械業界の事業環境を激変させた。感染拡大防止の観点から、工作機械メーカーでは顧客と対面での商談が難しくなったことで、デジタル技術を駆使する動きが拡大している。感染防止に配慮しつつ移動の障壁も取り除くことができ、案件の成約や業務効率化といった実効果が生まれている。コロナ禍が、図らずも業界のデジタル化推進のトリガーとなった。

「機内の構造はこのようになっています」。牧野フライス製作所の神戸テクニカルセンタ(神戸市西区)の一角。担当者が熱心に顧客へ商品説明しながら指し示すのは、前後左右4面の構造体「デジタルボックス」に映し出された工作機械の画像だ。

新たなツール

デジタルボックスは、同社の生産拠点に出向けない顧客向けに工作機械を紹介するツールとして2020年夏に運用を開始した。前後左右で計約70枚のパネルを使って実寸大の機械を表示し、顧客は機内の細部から加工性能、サイズ感まで4方向から確認できるほか、顧客自身が歩きながら見ることで実機をよりイメージしやすい工夫を施した。

同社にとっては、実機の最終確認・購入へ“一押し”するためのツールであり、「デジタルとリアルの融合による顧客へのアプローチ」(高山幸久執行役員)の手段として活用していく方針だ。

出荷前に製品の仕上がりをユーザーがメーカーの工場で確認する「立ち会い」も、20年の緊急事態宣言の影響などで、デジタル化が本格的に広がった。開始当初は、事前準備などの対応に苦慮したメーカーもあったが、徐々にノウハウが蓄積され、マニュアル化も進んだ。オークマの家城淳社長は「加工テストも事前に実施して諸データを提供することで顧客満足度が高まった」と手応えを示す。

浸透進み好評

DMG森精機の森雅彦社長は「顧客もデジタル立ち会いに慣れ、今後も(活用が)増える」とみる。同社は2月からデジタルツイン技術を使ったテスト加工も始めており、最短2営業日以内でテスト結果を回答できるようにした。

ジェイテクトは、リモート立ち会い専用ソフトを自社開発した。担当者は「海外含め複数拠点からより多くの人が参加でき、リアル以上に好評だ」と盛況ぶりを話す

各社は商品訴求の面でも、ウェブ展示会の開催などを活発化している。アマダは今後、営業・サービスに特化したウェブサイト内にウェブ展示場を設けるなどし、「リアルとバーチャル両面で商品を訴求できる体制を作る」(磯部任社長)方針だ。

さまざまな業務でデジタル化が急速に進む中、牧野フライス製作所の高山執行役員は「(デジタルを活用した)新たな営業スタイルを開拓・浸透させる時期に来ている」と現状を捉える。デジタル対応の巧拙が、各社のレジリエンス(復元力)を押し上げる重要な要素となっている。


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日刊工業新聞2021年2月17日

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