「空飛ぶクルマ」発着場を開発する英企業が描く未来図
地上と空をつなぐ―。英Skyports(スカイポーツ)は「空飛ぶクルマ」の発着場の開発を手がける。電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発する企業と協力し、あらゆる機種の空飛ぶクルマが安全に離発着できる飛行場を目指している。医療・電子商取引(EC)などの分野で飛行ロボット(ドローン)による物流事業も展開する。「空飛ぶクルマ産業のために、地上と空をつなぐ重要な役割を果たしていきたい」と、アジア太平洋責任者のユン・ユアン・テイ氏は意気込む。
同社は誘導路や旅客搭乗ゲートなどの「エアサイド」と旅客ターミナルなどの「ランドサイド」で構成する「バーティポート」という名前の発着場インフラ開発に取り組んでいる。あらゆるメーカーの空飛ぶクルマに対応する運営システムを構築する計画だ。
「どのような種類のeVTOLでも充電できる設備が必要になる」(テイ氏)ほか、旅客を効率的に運ぶため、非接触型生体認証チェックインシステムや保安検査システムも整備する。
「業界では機体そのものの開発に莫大(ばくだい)な資本や時間が投下されている。だが、発着場の議論や開発は十分に行われていない」(同)。世界の主要都市を中心にインフラ整備が進めば、誰もが低価格で空飛ぶクルマを利用できるだろうと説明する。
欧州や北米、アジア、豪州など各国でプロジェクトを進めており、既にシンガポールにデモ用の発着場を建設した。各国の規制当局や業界団体と連携し、3年以内の実用化を目指す。また、ドローンを活用して医療物資などを運ぶサービスを英国で展開している。
同社は兼松と提携し事業展開を進める。兼松ベンチャーズ(カリフォルニア州)の西川真史社長は「eVTOLのエコシステムに入っていきたい」と力を込める。日本では経産省と国交省が2023年度の空飛ぶクルマのサービス開始を目指し、関係企業や団体と議論を進めている。(森下晃行)