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ソフトバンク孫会長、「反省」の裏に込めた思い

ソフトバンク孫会長、「反省」の裏に込めた思い

オンラインで会見する孫社長

ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は、12日の決算会見で国内企業として過去最高だった2021年3月期の当期利益に関連して「『たまたま』が重なって一時的に利益が大きくなっただけ」と振り返った。一方、「(当期利益は)5兆、6兆円では満足しない」とも述べた。継続的な利益の創出に向けて、投資先の分析力向上などを課題に挙げ、さらなる成長を見据えた。

「反省」―。孫社長は人工知能(AI)ベンチャーなどに投資する「ビジョン・ファンド」事業に関連してこの言葉を何度も口にした。

1年前の20年3月期決算は同事業の不振により、過去最大の赤字を計上したことなどに触れた。その上でこの「反省」を今後の成長の余地としても強調した。「反省点が見える以上は改善できる。必ず改善して『たまたま』ではないレベルになる」と力を込めた。

今後の投資方針としては「相場の上がり下がりではなく、AIを使ってビジネスモデルを再定義するような会社を生み出す後押しをして新規株式公開(IPO)のラッシュを作る」と説明。それを実現するための具体的な方法として投資先となるユニコーンを発掘する分析力の向上や資金調達の仕組み作りをあげた。

一方、この3カ月で60社に投資しており、「今年は去年(の14社)を上回るIPOが準備中だ」という見通しも示した。

また、欧州連合(EU)が4月にAIの利用を制限する包括的な規制案を公表するなど、AIやITをめぐって世界的に規制強化の動きが広がる。こうした動きによる投資方針への影響は「ほとんどない」とした上で「規制の中でもAIによる技術革新はずっと続く。投資機会はますます出てくるはずだ」と述べた。

日刊工業新聞2021年5月13日

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