NTT東日本「非通信」を収入の過半に、どう稼ぐ?
NTT東日本は10年後をめどに、音声通信やデータ通信などの売り上げから成る「回線収入」を、それ以外の「非回線収入」が上回るように収益源の多角化を進める。非回線収入の上積みに向け、他の通信事業者からの設備点検の受託を推進。スマートフォンの活用などで要員を大幅に増やさずに受託できる体制を追求する。無線LAN環境の構築や中小企業向けの情報システム運用支援といった業務にも力を注ぐ。
NTT東は2019年度の連結売上高でシステム構築(SI)や通信機器販売、中小企業のIT環境保守といった非回線収入の比率が前年度比0・7ポイント減の17・9%だった。今後10年程度で50%以上に引き上げたい考え。
主力の光回線は足元ではテレワーク需要などで堅調だが少子高齢化やモバイルの普及で大幅な伸びまでは見込みにくい。非回線収入拡大を図り自社の中長期的成長につなげる。
非回線収入の上積み策として他通信事業者から設備保守や点検を請け負うことを想定。受託に当たり、点検効率化の知見を生かす。NTT東はスマホで使える設備点検アプリ「ASK(アスク)」を開発し、自社グループでの試験運用を20年4月から実施している。試験運用では点検時間を従来の半分にできた事例もあるという。21年3月末時点で約200人が活用しており、6月ごろまでに実運用を始める。
ASKの利用者はスマホの画面に一問一答形式で点検項目や注意点などを入力する。実務経験が少なくても点検しやすくなり、報告書の品質の平準化も期待できる。NTT東はこうした仕組みを整備することで、他事業者からの受託も容易になるとみている。このほか第5世代通信(5G)をエリア限定で使うローカル5Gを活用した無線LAN環境の構築や保守も「大きな仕事になってくる」(井上福造社長)と見込む。